聴覚障害や視覚障害、肢体不自由などの身体障害があっても、個々人に対応する各種の保障や支援、事前的改善措置、合理的配慮などを利用することにより、大学で学ぶことは可能になってきました。特に、障害者権利条約や障害者差別解消法などにより、障害を理由として大学への進学が阻害されることはありません。
まず、自分に必要となる各種支援策などを志望する大学(学部学科など)が用意しているか、ホームページや大学案内パンフレットなどを参考に調べてみましょう。そして、具体的に必要となるような場面、例えば授業や実習演習などを想定しながら検討してみることが大切です。もちろん、第三者に相談したり援助をお願いすることも大切です。
一方で、本当に学びたい分野が何か、自分の将来を想像しながら考えることも大切です。大学での学びは「自らが学びたいことを、自発的に取り組むこと」ができるか、という視点で考えてみると良いと思います。もちろん、自分自身の障害について理解し、平等な学びを得るために必要となる支援について説明(要求)することも必要になります。
これらを一気に解決することは難しいと思います。高校3年生になってからでは遅いかもしれません。できれば高校へ進学した直後からでも早すぎることはないと思います。大学の知名度やいわゆる大学ランキング(偏差値)に惑わされてはいけません。本当に学びたいと思う分野であっても、学ぶための環境が十分でなければ皆さんの実力は活かされません。
以下に障害のある受験生の進路を検討する手順(例)について示しておきます。例ですので必要に応じて調整してください。
- 自分の日常生活から、自宅からの通学か、アパートでの一人暮らしが可能なのかを判断してみましょう。もちろん、日常的に介護が必要であっても支援者や介護者を得ることができれば一人暮らしも選択肢のひとつとなります。
- ホームページや進学情報誌、あるいは高校の先生、予備校や塾の先生などから自分の学びたい分野のある大学や短大、専門学校について調べてみましょう。入学した後の自分を具体的に想像してみると良いでしょう。例えば、通学手段はどうするのか、食事はお弁当か学生食堂か、高校までと違い授業ごとに教室が変わりますので移動方法はどうか、サークル活動などについても考えてみると良いでしょう。
- 大学案内パンフレットや学生募集要項などを請求し、学内における障害学生支援などの内容や受験に際して行われている各種配慮(事前的改善措置)を確認してみましょう。大学によっては「障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領」を公開しているところもあります。
- 高校生向けに開催しているオープンキャンパスなどの日程を調べてみましょう。なんらかの配慮が必要な場合、オープンキャンパスを担当している部署に相談をしてみましょう。自分に必要な対応や支援について、入学後も提供してもらえるのかどうかなどを担当者と話しができると良いと思います。もちろん、在学生との交流も雰囲気を知るためにはとても大切です。
- 受験の際の各種配慮についてはとても重要です。ただし、受験の時にしか提供されない配慮なのか、日常的に授業や各種活動において提供されている配慮なのかは確認しておく必要があります。例えば、受験の際には手話通訳をつけてもらえるが日常的な授業では手話通訳がつかない、という例は多くあります。
これらを項目ごとに説明してみましょう(以下、ページへのリンク)
(1)ホームページを調べてみよう
(2)オープンキャンパスに参加する
(3)大学入試に出願、そして受験へ
そして、希望する大学への入学が決まったら、さまざまな支援を受けるための相談などを開始しましょう。特に、身体障害ごとに配慮する内容などが異なりますし、自分自身に必要な支援なのかをよく検討する必要があります。以下のリンクでは事前的改善措置やそれぞれの身体障害ごとの配慮内容について事例をもとに説明します。
大学への入学が決まったら
具体的な情報として、障害学生としての経験をもつ人たちに、これから大学進学を目指そうとしているみなさんに対するメッセージを書いてもらいました。障害は人それぞれによって異なります。そのため、同じような困難や課題をもつ人たちは少ないかもしれません。しかし、僅かでもみなさんがたの力になればと、先輩たちは協力してくれます。個別に相談などがあれば、仲介をしたいと思います。気軽に相談してみてください。