大学側では、あらかじめ障害学生の入学を想定し、必要な改善措置を講じています。いわゆるバリアフリー化という内容になります。多くの大学ではオープンヤンパスや入試の段階で入学予定者の身体障害等、配慮するべき点については把握されているはずですし、すでに障害学生が学んでいる大学であればある程度の改善措置が進められている可能性が高いと思われます。もちろん、これらバリアフリー化は一般的な事前的改善措置であり、障害学生における個別性に対しては「合理的配慮Reasonable Accommodation」として対応しなければなりません。
合理的配慮とは、障害者から何らかの援助を求める意思表示があった場合には、過度な負担にならない範囲において、社会的障壁(バリアー)を取り除くために必要な便宜をはかることです。
相談窓口のバリアフリー化
- 障害学生を支援する相談窓口の明確化
(可能ならば障害学生ごとに担当者を設定すると信頼関係が生まれやすい) - セメスターごとの定期的な個別面談の実施により障害学生の状況を把握
(教員、カウンセラーなどの専門職員により分担するとよい) - 懇談会開催等により障害学生間の情報共有を促進し、状況把握に努める
- 学生への連絡としては学生が日常的に利用しているLINEなどを有効活用
キャンパス内のバリアフリー化
- ホームルームという制度がないため、荷物を預ける個人ロッカーの利用
(鍵の開閉などロッカー利用の自立を確認) - 校舎内の移動、校舎間の移動、通学路での移動に障壁がない
- 教室内の机椅子の利用が可能か、車いすでの机の利用が可能
- 校舎内の階段や段差に対してエレベーターやスロープ、昇降機の設置
- 着替えたり体調を整えるための休憩室や多機能トイレの設置
- 各種掲示物と同じ情報がネット上でも確認できる情報通信システム
- 食堂や図書館などの利用が可能(移動、食券の購入、開架図書の閲覧など)
- 学生同士による相互支援体制の普及啓蒙活動
(ノートテイカ―養成講座、手話・点字等情報保障技術の習得など) - 入学式・卒業式など学校行事における情報保障の提供
- 各種福祉用具・支援機器の貸出し
- 支援機器の設置(点字プリンター、OCR、立体コピー機、など)
- バリアフリーキャンパスマップの提供(わかりやすいサインの設置)
授業等でのバリアフリー化
- 障害学生が履修する授業教室の優先的な割り当て
(物理的な教室の位置、教室間移動の距離、教室内設備の有無など) - 授業における工夫
(資料の電子化、板書の読み上げ、映像の解説など) - 配布資料の工夫
(電子化資料として学生に事前配布できると良い) - ビデオ教材等の文字起こし(字幕作成)
- ノートテイク・要約筆記等による情報保障
(音声認識など機械翻訳を含む) - 障害に応じた定期試験での配慮(時間延長・別室受験など)
- 障害学生から各授業担当教員への個別的な配慮内容の提示
(板書やスライド画像の写真撮影、音声録音への許可など)