Skip to content

3.出願、そして受験への取り組み

 この大学を受験してみよう、という判断ができたら出願です。まずはどのような手段で受験できるのか、どの方式の入試が自分に適しているのか、願書にはどのような書類が必要なのかを確認する必要があります。大学案内パンフレットと学生募集要項(入学者選抜要項)などの書類を請求し、担任の先生やご家族と共に書類の内容をよく確認してみましょう。

 推薦型入試、あるいはAO入試などの場合、学力試験のほかに面接やグループワーク、あるいはプレゼンテーションなどを課される場合があります。障害があるからと免除される訳ではありませんし、もし免除されるならばそれは「障害者差別」にあたります。一方、障害者を対象とした入試を実施している大学もあります。アファーマティブアクション(Affirmative Action)といって積極的格差是正措置などと日本語でも表現されています。例えば、男女雇用均等において用いられる措置として一般的です。どれが自分に適しているのか、よく検討してみましょう。

 障害のある受験生への配慮は大学により多様です。繰り返しになりますが、どの制度、方式が自分に適しているのかをよく検討することが大切です。自分の障害のこと、自分の特性のことをよく考え、自分をもっとも表現できる制度、方式を選択することが必要であり、さらに自分に必要な対応、配慮などを大学側に説明し、要求することができるか。これが大切だと思います。


聴覚障害を例に、面接への配慮を検討する手順について以下に紹介します

  • 受験生には難聴(聴覚障害)があり、音声で自分の意見を述べることはできるが面接者(初対面のひと)の言葉をうまく聞き取ること(読み取る、読唇)に自身がない。
  • 高校では補聴器を利用している。声(音)の有無について解る程度であり、内容までを聞き取ることは困難である。

 面接ではどのようなことを質問されるのか、あらかじめ内容を知りたいと考えるかもしれませんが、入試の内容を事前に知ることは不可能です。では、面接においてどのような配慮があれば他の受験生と同等となるのでしょうか。面接者の音声を正確に知る手段があれば公平と考えるのが妥当でしょう。方法としては、手話通訳、要約筆記などの情報保障があります。入学後、これらの情報保障を授業で提供しているのかを確認した上で、できるだけ「授業などで提供されている情報保障」を利用することが望ましいと考えます。

  • この大学では大学の講義において要約筆記を導入している。そのため、面接者の話す内容を要約筆記にて文字にして受験生に提示する方法を選択したい。
  • 要約筆記としては文字の判読や大きさを調節できるようにパソコンを利用した方法を選択し、また情報保障を実施するための時間が必要であり、試験時間を1.5倍程度延長することを希望する。
  • 面接者の音声を文字にして読み取ることができれば、質問への回答については自分の音声で発言することで回答したい。もし、自分の音声が聞き取りにくいようであれば聞き返してほしい。自分の口話能力についても大学で使えるのかを確認したい。

 このような手順により検討することが大切です。上記の例において面接時に要請する配慮としては以下のような内容となります。

  1. 面接時間の延長(1.5倍程度)
  2. パソコン要約筆記(授業での利用と同程度)の利用
  3. 面接者と対面できる座席配置(面接者の口の動きを見るため)
  4. 面接室への補聴器の持ち込みとその利用
  5. 面接前後における各種指示、誘導時での視覚的な情報提示(指差し、文字提示など)