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田原めぐみさんの場合

(1)大学に進学したいと考えた理由や将来の目標など(当時)

 自分自身がお世話になった医療ソーシャルワーカーという職業に憧れて社会福祉士の資格を取りたいと思い、社会福祉学部のある大学への進学を決めました。

(2)大学に進学することを決めた時の不安や課題など(当時)

 大学のキャンパス内は障害学生のための事前的改善措置が施されており、エレベーターや多機能トイレなどもあり施設面で困ることはなさそうでした。オープンキャンパスに参加したこともあり、身体障害のある先輩が多くいらしたこともわかり、大丈夫だろうという印象でした。

 ただ、実家から大学は遠く、通学が難しいことから一人暮らしをする必要があったので、そちらの方が不安でした。入学が決まり、大学に至近のアパートを借りることができたことで、普段の通学は問題なさそうでしたが、クラッチを利用して歩行していることから日常的な買い物をどうするのか、天候がわるい時の通学、特に降雪した時にどうするのか、健康状態(体調)が崩れたらどうするのか、などが課題でした。

 入学前の段階において大学の最寄り駅から電車を使って行けそうな食料品店を見つけたり、悪天候などで登校が難しい日は送迎を大家さんにお願いしたり、アパートに近い位置にある個人病院を探したりしました。

(3)入学後、気づいたこと(良かったこと、悪かったこと)

 入学後、実際に学生生活を始めてみると、専門書などのテキストが重くて運ぶのが大変だったり、授業中にノートをとるスピードが追いつかなかったり、雨天時の校舎内は床が濡れていてクラッチが滑ってしまうなど、細かいところで困ることが出てきました。

 その都度、障害学生支援室と相談しながら、荷物を入れるためのロッカーを優先的に貸してもらえたり、友達にノートを借りるなどして写させてもらったり、クラッチが滑りそうな場所は友達が手を貸してくれたりと、たくさんの方々に助けてもらいながら生活ができました。

富山ライトレールのドア付近
富山ライトレールのドア付近

 心配していた買い物や悪天候時の登校は、友達が車で送迎してくれることもあり、とても助かりました。ただ、専門課程における現場実習や就職活動では友達の支援が望めないこともあり、大学から遠い地元での実習先や就職先を探す際には苦労しました。求人情報は地元の情報がそもそも少なく、障害者雇用となるととても限定的で、たいへん苦労しました。(民間の障害者雇用枠での就職も経験しましたが、現在は自治体職員として働いています。)

(4)大学生としての活動で記憶に残っている活動や出来事など

 サークル活動や友人らとの交流(学生食堂での日常的なおしゃべり)のほか、友達と行ったお祭り、鍋パーティーなどたくさんあります。また、専門ゼミナールの研究『クラッチ利用者の鉄道利用における避難経路確保の調査』の一貫で訪れた富山県(富山ライトレールの視察)や音楽ライブなど、家族ではない友達たちと遠出をする経験は大学に入るまであまりありませんでした。大学生活を通して、実家暮らしではなかなか実現できなかった経験をたくさんしました。

富山ライトレールの車内
富山ライトレールの車内

 そして、社会福祉士国家試験のための受験勉強は大変でしたが、同じ希望をもつ友達らと一緒に勉強し、頑張れたことはとてもいい思い出になっています。

(5)自分と同じ障害のある後輩たちに向けて

 障害があることで最初は不安も多いと思いますし、新しい生活を進める中で困ることもいろいろ出てくると思います。でも、困った時、思いきって自分から周りに声をかけてみると、周りの人たちはちゃんと答えてくれます。

 ぜひ、気の合う友達を見つけてください。そして、その友達らと楽しいことをたくさん経験してください。友達と一緒なら勉強やつらいことも乗り越えられると思います。