Skip to content

西澤華穂さんの場合

(1)大学に進学したいと考えた理由や将来の目標など(当時)

 私は生まれつきの障害により小さい頃から肢体不自由児施設を利用していました。その施設の相談員から地元地域での生活や福祉制度などに関する支援を受け、一般の小学校への入学や中学、高校への進学において様々なアドバイスを頂きました。小学校は途中からエレベータがつきました。公立高校は合格しないとバリアフリーの工事ができないとのことで、(不本意でしたが)特別支援学校へ通うことになりました。このような相談に乗ってもらう中において、私の意見を尊重しつつ、多面的に考えてくださいました。
 このような経験から相談員、つまりソーシャルワーカーという職業に憧れを持ち、多くの選択肢を提供しつつ、親身になり一緒に考えてくれるソーシャルワーカーになりたいと思い、社会福祉士・精神保健福祉士の資格を取得するため、大学へ進学したいと思いました。

(2)大学に進学することを決めた時の不安や課題など(当時)

 大学進学を決めた際の課題としては、大きなものが2つありました。ひとつは通学手段をどうするのか。ふたつめは学内での移動方法でした。
 通学手段に関しては、実家から送迎をしてもらえば通えない距離ではありません。しかし、仕事のある家族に大学への送迎をお願いすることは難しく、公的な移送サービスの利用は時間の制約があり大学生としての自由な時間がなくなります。友達やサークル等の交友関係を大切にしたいと考え、自宅からの通学ではなく大学の近くのアパートを借りて、一人暮らしをすることを選択しました。障害学生を多く受け入れていた大学でもあり、周囲には車いす利用者にも便利な間取りのアパートがありました。
 小学校入学前から高校卒業まで手動車いすを利用していました。大学ではテキストなどの教材やパソコン等荷物が多くなることも想定され、また大学はキャンパスが広く教室間の移動距離も長くなることから担当の理学療法士とも相談した上で、電動車いすの導入を検討することにしました。

(3)入学後、気づいたこと(良かったこと、悪かったこと)

 大学入学後、障害学生支援室の職員とも話し合いを行い、心配事を少しずつ解決していきました。入学前の心配事であった荷物が多くなることに対しては、障害学生のためのロッカーを借りることで解決しました。必要なテキストなどの教材だけを持参して教室へ向かうことができたことで、車いすで運ぶ荷物を最小限にすることができました。

 ほとんどの建物にはエレベータが設置されており、自力ではいけないような教室はありませんでした。しかし、建物が異なる教室間の移動においてはエレベータを利用することで階段を使うよりも遠回りをしなければなりません。また、多機能トイレがすべてのトイレに併設されてる訳ではなく、建物に1箇所程度しかなく、移動にも時間がかかりました。

(4)大学生としての活動で記憶に残っている活動や出来事など

 当初の目的でもありますが、大学生としての生活、特に友達と出かけたり、サークル活動を通してたくさんの人と関わることができました。友達が様々な場面で手助けをしてくれた事が私の大学生活での印象に残る出来事です。ノートをとるのに時間がかかるため、授業後にノートを貸してもらったり、課題レポートを一緒に書いたりしました。また、一緒にお祭りへ参加するなど学外へ出かけることも多く、それまではあまり経験がないことも多くとても新鮮に感じました。

 4年生の時に履修した専門ゼミナールでは『車いす利用者がウエディングドレスを着た際のデザインや移動のしやすさに関する調査』を行いました。車いす利用者の自分が実際にドレスを着て評価するなどの経験を通して、自分自身で考えた課題に取り組む事の大切さを知ることができました。また、就職活動における自己覚知を通して、自分の得意不得意や興味関心、将来どのような事がやりたいのかを真剣に考える機会を得ることができた4年間でした。

専門ゼミでの調査風景(車いす利用者によるドレス着用)
専門ゼミナールの調査研究「車いす利用者によるドレスの着用」
卒業式の晴れ姿
卒業式にて(友人たちと)

(5)自分と同じ障害のある後輩たちに向けて

 学生生活はどんな形であれ、自由だと思います。
 取得したい資格に向けて一生懸命勉強したり、友達との交流を通して、新しい何かを見つけたり、自分が大切だと思うものを探してみてください。