(1)大学に進学したいと考えた理由や将来の目標など(当時)
社会福祉学部に進学することで、筋ジストロフィー症である自分をこれまで支えて下さった方々に対して、間接的に恩返しをしたいと思ったのが理由です。そして、自分と同じような苦労をしている障害者を直接的に支援することが将来の目標でした。
(2)大学に進学することを決めた時の不安や課題など(当時)
小・中・高等学校と普通学校でした。他の子どもと違い、歩き方が独特でした。その後、車いすを利用する特別な自分とどう向き合って良いのか分からず、どう自分を表現して良いのかも分からないままでした。そのため、これまでの経験から友達付き合いに慣れておらず、友人ができるか心配でした。特に、言葉が足らず誤解を招くことがあり、コミュニケーション力が課題でした。
日常生活では大学内における排泄時に介助が必要であり、それらの支援を得ることができるかが不安でした。
(3)入学後、気づいたこと(良かったこと、悪かったこと)
入学後は大学近隣にアパートを借り、母親に介助をしてもらいながら4年間の学生生活を送りました。今から思うと大変な事だとは思いますが、24時間の介護サービスを受けながら自立した一人暮らしを送っていたら、もう少し違った学生生活ができたのではないかと思います。
日中の生活支援をヘルパー等に依頼することができたら、友達とはもっと対等な関係でいられたのではないかと思います。しかし、学生には難しいかもしれません。現在は親とは離れ、ヘルパーを活用しながら自立生活を送っています。
(4)大学生としての活動で記憶に残っている活動や出来事など
大学にはさまざまな形態の学生支援システムがあります。母校には学生個人の夢を資金的にバックアップする制度(チャレンジ精神旺盛な学生の企画を評価し、最終選考を通過した企画に対する経済的支援制度)があり、応募し支援を受けることができました。今もやり続けている「車椅子サッカー」の活動に生かすことができたのはラッキーだったと思います。
1年生のゼミナールで印象に残っているのが食事介助ロボットの評価でした。国際福祉機器展見学を通して福祉用具に興味をもったクラスの仲間と一緒に、食事介助ロボット「マイスプーン」を利用してランチを摂りました。時間はかかりましたが、母が作ってくれたお弁当をロボットを使って完食できました。
(5)自分と同じ障害のある後輩たちに向けて
大学生活は親から離れられるチャンスです。自由な一人暮らしをすることは、楽しい事もいっぱい。かけがえのない親友に巡り合うチャンスです。しかし、その一方、自由には責任を伴うことになります。
大学生活は自由で楽しいことが多いと思います。でも、なぜ大学に入学をしたのか。自分の本来の目的を忘れないよう、自分らしい大学生活を送ってもらいたいと思います。そのためにも目的意識を持ち、行動しましょう。井出の分まで大学生活を楽しんでください。