(1)大学に進学したいと考えた理由や将来の目標など(当時)
高校1年生の時、進学先としていくつかの大学を調べはじめた頃、特別支援教育と同時に社会福祉も学べる大学を両親が見つけました。私には聴覚障害があり、4歳のころより人工内耳を装着していたこともあり、聴覚障害に対する支援が充実している、その大学に進学を決めました。
(2)大学に進学することを決めた時の不安や課題など(当時)
出身が都会だったこともあり、地方の大学に行くという楽しみがありました。私は小・中・高校とずっと一般の学校に通っていたこともあり、コミュニケーションの面や生活面などに大きな不安はありませんでした。
しかし高校時代、授業のスピードについていけなかったこともあり、大学の授業はどんな感じだろうかという不安は少しだけありました。高校までの授業では情報保障の経験がなかったこともあり、障害学生に対する授業支援や情報保障のイメージがわきませんでした。また、障害学生に対する支援がどの程度の効果なのかも半信半疑でした。
(3)入学後、気づいたこと(良かったこと、悪かったこと)
障害学生個々に対する相談支援の充実
大学には障害学生支援室があり、専任の職員と相談することができ、授業を受けた後に気づいたところを伝えることなどを通して、障害学生本人の意見を受け入れてくださいました。
障害の有無に関わらず、学生には担当するアドバイザー教員がいました。またゼミナールの教員ともよく話をしていました。ゼミナールの教員がアドババイザー教員を兼ねることもあり、親身になって話を聞いてくださったり、アドバイスをしてくださったり、就職に向けて沢山のサポートをしてくださいました。ゼミナールの教員には感謝しかありません。
授業における情報保障サービスの充実
受講した授業の半分程度はノートテイク(教員の音声を文字化する要約筆記、情報保障)を利用しました。これら情報保障サービスを受けるのと受けないのとでは、授業内容の理解度がずいぶんと変わります。教員の話すスピードにもよりますが、一斉に教える講義では6~7割くらいしか聞き取ることができず、限界がありました。ノートテイクを受けることで残りの2~3割の欠落する部分を補うことができ、授業内容の理解がより深められました。
教室の広さや授業の受講者数によってはノートテイクの必要性は異なります。ノートテイカーの多くは学生ボランティアであるため年齢的に近いのもあり、ノートテイクに対するイメージが変わりました。そのため、ノートテイカーと積極的に情報交換したりしました。
私の場合、少人数でのグループワークでは教員や履修学生と直接コミュニケーションを取りたかったので、ノートテイクを断ることもありました。
地方における公共交通機関の問題
都会出身だった私にとって地方の公共交通機関の問題として、電車やバスの本数が少ないことに不便を感じました。地元では最短で3分間隔で電車が来ますが、大学近郊の電車は30分に1本程度で、通勤通学の時間帯を外すと1時間以上に1本という時刻表です。
電車を乗り換え1時間かけて通うことに不満はありません。しかし、途中駅での乗り継ぎ時間が1時間待ちということもあり、特に寒い冬が苦痛でした。障害学生の場合、公共交通機関を利用する機会は多いと思います。安全で便利な移動手段の確保はとても大切です。
地方ならでのあるあるだと思いますが、自家用車がないと食料品などの買い物も不便です。自家用車による通学が認められていたこともあり、入学後に運転免許を取得し、車で通学していました。
一方、地方ならでの良さとしては自然が豊かでのんびりしてるため、生活環境としてはとても良かったです!
(4)大学生としての活動で記憶に残っている活動や出来事など
4年間の学生生活を振り返るとサークル活動に参加したり、アルバイトをしたり、友達と飲み会をしたりなど、充実した学生生活を過ごしていました。私は手話ができませんでしたが、私の周りには手話による会話をする友達がいたので沢山手話を教えてもらいました。
進学理由にも書きましたように教育職員養成課程でしたので、教職を目指している友達と一緒に受講することが多かったです。また、正課外の勉強として教員採用試験に向けた勉強や試験対策講座を受講したり、大学周辺の小学校や特別支援学校でのボランティア活動にも積極的に参加しました。4年次にはゼミナール活動として他の学生と一緒に小学校へ足を運び、課外活動や授業の補助をさせていただきました。視覚障害のある友達と一緒に「障がい者体験」について授業をやらせていただきました。これもまたいい思い出です。
(5)自分と同じ障害のある後輩たちに向けて
大学で学ぶことで、視野がさらに広がります。
余談ですが、私は聴覚に障害をもっているため、今でも仕事の中でうまくいかなかったり、子どもとコミュニケーションを取れなかったりなど苦しいことが多くあり、壁にぶつかる日々です。その分、乗り越えられた時の喜びは大きいです。大学で学んだことが今につながっていると思います。
障害の有無にかかわらず、誰にも壁にぶつかることはあります。それを個性として肯定的に受け止められれば自分の”強み”につながると私は思います。まずは自分のことを理解することです。社会に出たときには必要な力だと思います。ある先生の言葉ですが「可能性は無限大」というフレーズが好きです。失敗することを恐れずに新しいことに何事にもチャレンジをする姿勢が大事だと思います。
時間を有意義に使えるのは今です!!