井上電機(今じゃICOMというらしい。笑)のIC-501という50MHz帯SSBのトランシーバー。45年ほど前の製造。当時は50MHzのSSBは最新鋭で、ダイヤルの照明が綺麗だった。
自分がアマチュア無線の国家試験(電話級、今じゃ4級というらしい)に合格した時(中学1年の終わり)に買ってもらったリグ(無線機)。開局は中学2年生の5月だったかな。。。当時はJR2KDAというコールサイン。でも、現在はコールサインが枯渇しており、再配当されてしまい、このコールサインは誰だかしらない人が申請して利用しているらしい。まあ、2エリアに帰ることはないので、再度同じコールサインを取得するつもりはないけれど、でも再配当されていることの事実は受け入れ難く釈然としない。
母が入退院を繰り返していた頃、実家での何気ない会話から無線機がまだあることを告げられ、子どもの頃の話にもなった。中学1年生が難しい工学や法規のテキスト(用語の漢字にふりがなを振っていたわ。逓倍なんて漢字は今でも普通に使わん!)を読んでいるけど、そもそも国家試験に受かりっこないと思っていたらしい。笑
帰省する頻度が高くなり、電車内で無線工学と電波法規の勉強を再開した。病室でも寝ている母の隣でテキストを読んでいた。母が亡くなった年の暮れに国家試験を受験。第2級アマチュア無線技士の国家資格を取得。中学高校大学の時に取得しようと考えたこともあるけれど、45年も経ってからそれが実現。そして、信州にて開局。これも亡母からの贈り物なのかもしれない。
当時の無線機IC-501は、電源は入るものの受信している気配がない。まあ、PLL(フェーズロックループ)という発振回路が作動しておらず、周波数がロックされていないことの表示があるから正常ではない。しばらく放置していたが、退職したことで集中できる時間ができたことで、修理を始めた。ただ、回路図は井上電機、失礼アイコムからご提供頂きましたが、サービスマニュアル等の類は全くないとのこと。海外のサイトを検索したけれど、IC501は未だ見つけられず。国内のサイトをいろいろと探し、修理をされたOMさんがたにも教えを請いながら着手。まず、発振回路が課題であることは明確だからと回路図とにらめっこ。学生時代、もっと勉強しておけばよかったと高周波回路の理解から苦しむ。笑
大学時代の親友にも教えを請い、まずはそこそこの機能をもつ周波数カウンタが必要だということになり、中華製基板むき出しの120MHzまで計測できるものを密林から入手。なんとか理解と作業を積み上げながら電解コンデンサーを総入れ替えし、作動がおかしいトランジスタを交換。そうこうしていると定電圧電源のひとつが落ちてしまう。電源は入るけれど、電源を入れるといきなり送信モードになる。当初は、PTT(プッシュツートーク。マイクの送受信切り替え部)の回路がショートしたかなと探ったけれど異常なし。回路的に送信するためのリレーが破損したか、とリレーを外すが問題なし。え〜、といろいろと探るとある定電圧電源の出力が出ておらず、リレーがショートになってしまうことが判明。
そもそもの電源は車載用を想定し設計されているので直流12ボルト。それを9ボルトの定電圧回路により回路が繋がっている。定電圧電源は大きな部分が3つ。つまり、パワートランジスタが3つあり、そのうちの2つが異常、つまり破損していた。いろいろと触っていることでどこかとショートしたか、そもそも寿命が来たのか。2SD360というパワートランジスタ。これは45年前の製品でとっくに製造はされていない。同等品もなし。さて、困ったなとググったらまだ売っているところが秋葉原にあった。通販で入手。感謝しますよ若松通商さん!
電源は治った。が、VFO(周波数を可変させる部分)が発振を停止している。。。とても奥深くにあり、また周波数を安定化させるためしっかりと樹脂で回路が固められている。たぶん、トランジスタであろうとその周囲を削りはじめる。つまり、発掘のような感じ。笑
いろいろと苦労した甲斐もあり、なんとか発振を始める。PLLもとりあえずは修正できているようなので、受信と送信の確認をする。受信については発振周波数などを校正して完了。送信については。。。ダミーロード(アンテナを接続して送信すると電波が出てしまうためNGなので、抵抗をアンテナ代わりにつなぎ、電力のほとんどを熱にしてしまう。まあ、わずかな電波は出てしまうけれどGoodな環境)を接続し、電力計により出力を見ると。。。
とりあえず完了かな。
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