ARRLのLoTW(Logbook of The World ) アマチュア無線家のアメリカ代表組織 American Radio Relay League (ARRL、アメリカ無線中継連盟) には無線の業務日誌、つまり交信記録をネットワークを介して収集(無線家個人が情報を提供)し、交信記録のマッチングを検証することでDXCCなどのアワードを認定するシステムがあります。このオンライン業務日誌(ログ)はLoTW(Logbook of The World)と呼ばれ、2003年から運用を始め2004年からアワードと連動させて運用されているようです。
もちろん、インターネットを介したシステムであり、アメリカ以外にも大変多くの無線家が利用しています。そのデータはARRLのみならず別の団体が授与するアワード(賞)にも活用されはじめています。
(2024/06/07現在、ARRLのnetworkはハッキングにより停止中)
WIA(The Wireless Institute of Australia) オーストラリアアマチュア無線家の連盟(WIA, The Wireless Institute of Australia )が授与するアワードすべての処理をオンライン化し、ARRLが生み出したログデータを活用していることを知りました。このシステムを利用しWorked All VK Call Areas – HFというアワードの申請を試みましたので、その経過を記録したいと思います。
WIA Online Systemへの登録 オンラインシステムを利用するには登録をする必要があります。もちろん、利用するだけであれば無料ですので、まずは申請をしてみます。申請方法はオンラインシステムのログイン画面 に記載があります。
オーストラリア国民以外の場合、2つの方法により参加が認められます。(1)アマチュア無線のライセンス(アマチュア無線局の免許状かな?)の写しをWIAアワードマネージャーに郵送する、(2)LoTW証明書(.tq8)をWIAメールで送信する。.tq8はARRLのLoTWシステムアプリケーションTQSLにより、ログデータを証明付圧縮データにしたものです。これらのいづれかにより申請者がコールサインの所有者であることを証明します。
ARRLのTQSLについては他のwebなどをご参照ください。1つの交信記録でよい、と繰り返し記載があります。大量のデータを送ってしまう方が多いようです(笑)。私の場合、直近のVK(オーストラリア局)1局のみの交信記録をTQSLにより.tq8を作成し、メール送信しました。オーストラリアは日本との時差はほとんどないので午前中に送信すると午後には利用許可が下りていました。
実際にアワードを申請するためにはWIAに入会するか、国際メンバーとして年間利用料($AU 30)を支払う必要がありますが、利用の可否などを検討するためであれば利用登録だけで良さそうです。
Worked All VKアワード申請に必要なADIFデータ めでたくオンラインアワードシステムにログインできましたら、内容をしっかりと把握しておきましょう。オンラインによるアワード申請のためにはADIF logデータをアップロードする必要があります。オンラインシステムに明記されているように、アップロードに必要なADIFデータとして最低限必要な項目として、CALL, DXCC, QSO_DATE, TIME_ON, BAND, MODE, RST_SENTとなっています。
私も含めて日本の多くの無線家はTurbo Ham Log(ハムログ)というソフトを利用していると思います。このハムログもログデータをADIFとして出力することができますが、最低限必要となる項目のうちDXCCがありません。そのため、ハムログのADIFをアップロードしてもエラーとなります(経験済み)。
次に試したのは、本家ARRLのLoTWから自分自身のログデータをADIFとしてダウンロードできるため、それを実行してみます。とりあえず、VKとの交信のもっとも古い時期(2019)からのデータをダウンロードしてみようと以下のように入力してみました。コールサインJJ0UZRは私自身のものですから、試される場合はご自身のコールサインを入力してくださいね。
その中のVKだけを(ADIF Masterというソフトを利用して)抽出してみました。しかしながら、本家ADIFデータにはRST_SENTの項目がありません。ここでもエラーとなり、アップロードできませんでした。
マージする良い方法が見つからないため、とりあえず手入力という方法です。VKだけのデータであれば、RST_SENTよりはDXCCの方が簡単に入力できるためハムログのADIFデータをADIF MasterでDXCCの項目を作り、VK本土はすべて同じであるためコピペ、南極大陸など大陸以外は数も少ないので、それぞれを手入力。そのADIFを圧縮した後、アップロード!!! おお、読み込んでくれました。
ただ、単にアップロードされただけであり、そのデータが確認(照合)された訳ではありません。ログデータをARRLやeQSL.ccなどでの照合を経て確認されなければなりません。
これらもオンラインで実行したいと考え、試行錯誤の結果、LoTWからのお墨付きを頂くことが今回の全VKアワードには必要と考え、LoTWでデータ照合を実行する方法で処理をしてみました(VK0など希少価値のある局との交信記録がどこで照合可能なのかが重要!)。
この段階で試行錯誤の連続でした。WIAの担当Graham Alstonさん(VK3GA)には大変お世話になりました。何回ものメールのやりとりから無事にLoTWからの照合を得ることができました。
TurboHamLogによるADIに足りない項目 ADIファイルをいろいろと加工するためにADIF Masterというソフトを利用しました。 ハムログから生成されたADIファイルをADIF Masterにより加工処理するということになります。ハムログにより生成されたADIファイルに足りない項目は
<LOTW_QSL_RCVD>
この1項目です。この項目をADIF Masterにより追加し、交信記録それぞれに
“<LOTW_QSL_RCVD:1>Y”
を追加するだけです。そのデータをWIAにアップロードした結果が、上記スクリーンショットの画面下になります。
LOTW欄をみるとVerifiedが234となっています。また、clublogを利用しているためDXCC欄はVerifiedが346となっており、Paperは(紙QSLカードのチェックが全くないため)Not Verifiedが234となっています。
これで照合が完成したため、以下のようにアワードの申請画面となりました。
そして、希望する「Digital」をクリックすれば
と受付終了となりました。
めでたし、めでたし。
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