カテゴリー: 科学・技術

秋の星空

さんかく座の渦巻星雲M33

夏以降、なかなか夜空が拝めない日が続いています。
11月3日の夕方、なんとか晴れ間が広がり期待を持ちました。
巷では連休らしいけれど、月もなく暗い星空です。
20時30分ごろから撮影を開始。
機材はいつものようにニコンのデジイチと最近使いはじめた古の赤道儀+最新の起動導入システムOnstepです。自動で導入してはくれますが、画角での位置合わせは10秒程度露光しながら位置を確認。それなりに技術がいります。

NikonD3300+300mm(f4.5), iso3200
ビクセン赤道儀GP + onstep(自動導入システム)
180sec x 10枚、SiriLにて現像と色彩調整など。

M33 渦巻銀河星雲 (さんかく座、少しトリミングあり)

M33 渦巻星雲


M 2 球状星団(みずがめ座、少しトリミングあり)

M2 球状星団

Onstepという自動導入システム

ポータブル赤道儀の限界

 これまで長年ポータブル赤道儀ポラリエに望遠レンズを搭載したデジタル一眼レフカメラで星空を撮影してきた。簡単な道具であり、三脚も大型ではあるけれど普通のカメラ用のため、300mm望遠レンズだと1分(60秒)程度の露出が限界。これ以上になるとガイドエラーが増加する。
 まあこれまでは、1分の露出を何回も撮って加算平均をしてきたのだが、もう少し長いレンズとかを使うことも含め、がっちりした赤道儀が欲しかったのと、ポータブル赤道儀の場合、目的とする星雲星団が見えればまったく問題ないのだが、見えない対象をファインダーに導入するのは結構大変。見える星の位置から目測で導入し、仮にシャッターを開いて写してみて、写っていれば画角の中央に(勘で)移動させるという技も必要になる。結構な時間がかかる。
 これらをなんとか改善するには「自動導入システム」というものが必要となる。これまではモーター付きの高価な赤道儀をパソコンにつないで動かすシステムなどはあった。経緯台システムの簡易なものは持っているが経緯台であり、眼視では問題ないが写真撮影は難しい。それを解決してくれるのがOnstepという自作システム。巷では3Dプリンタがたくさん売られている。もちろん、自作したり。キットで作れるものもある。それらの多くは簡単なコンピュータでステッピングモーターをXYZ軸制御するもの。これを活用して、赤緯・赤経をコントロールして見えない天体も導入できるシステムがOnstepという世界中で利用されているGitHubのプロジェクト。

いにしえの赤道儀を落手した上で…

 まずは赤道儀が必要となる。いにしえの赤道儀をオークションで落手。それを利用してOnstepを搭載するのが早道だと考え、ビクセンのGP赤道儀を入手。モーターなどをボチボチ揃え、取り付け方法などを考えながら作ることも検討したが、まずは手っ取り早く動かしてみたいのでアリエクから中華製Onstepもどきを購入した。

Onstepの赤緯モーター部分

 これをコントロールするのはスマホなのだが、iPad用のアプリがいまいちなので、大昔のアンドロイドを出してきて使い始めた(笑)。

北アメリカ星雲 NGC7000

ちょうど夏の星座が出ていたので白鳥座デネブ近くにあるという北アメリカ星雲を狙う。もちろん、見えないのでシステムが探してくれる。とりあえず露出してみるとそれなりに写っていた!

2024/10/01 21:30頃から
Nikon D3300(HKIR)iso3200+ED180mmF2.8f2.8(LPR2フィルタ)
ビクセンGP赤道儀+Onstep、120sec x 10枚、SiriLにて現像処理。
2分の露出でもガイドエラーはほぼなし。長いレンズでも試してみたいね。


さんかく座 M33星雲(トリミングあり)

2024/10/06 21:00頃から
Nikon D3300(HKIR)iso3200+ED180mmF2.8f2.8(LPR2フィルタ)
ビクセンGP赤道儀+Onstep、120sec x 42枚、SiriLにて現像処理。トリミングあり。

ぼちぼちと動かしてみたいと思います。

久しぶりの星空

M101(メシエ101天体、別名:回転花火銀河)

この時期、なかなか綺麗な夜空が見えなくて。。。

天頂には大熊座(北斗七星)が見えていたので少しだけカメラを出して、初の回転花火銀河M101星雲を狙ってみました。フェイスオン(こちらに向いている)ので迫力ありますねぇ。初めてにしてはそれなりに写っているよう(自画自賛😂)。

M101(回転花火銀河)
M101(回転花火銀河)

2024/06/05 21:35頃から
Nikon D3300(HKIR改) + ED180mmF2.8f2.8(LPR2フィルタ52mm)iso3200、
ポラリエにてノータッチガイド。60sec x 11枚
SiliLにてコンポジット合成から画像処理を実施。トリミングあり

SiriLの場合、しっかりと周辺の星雲星団などの情報もつけてくれます。勉強になる〜(笑)


夏の一等星アンタレス周辺

綺麗な夜空がみえない時期ですが、昨夜はすこしだけ星が見えました。
さそり座の赤い星アンタレス周囲にはカラフルな星雲星団があります。
さそり座は高度が低いので庭からだと隣家の屋根が入ってしまうこともあり、カメラの場所をいろいろ変えてなんとか。ただ、道路からの光が入るため、ちょっとおかしな光線も写ってしまった。。。

2024/07/04 21:30頃から
Nikon D3300(HKIR改) + ED180mmF2.8f2.8(LPR2フィルタ) iso3200、
ポラリエにてノータッチガイド。30sec x 39枚
SiriLにて現像処理。
アンタレスの右にあるM4球状星団がなんとか写りました。

IC4603の右下あたりの光。レンズに映り込んだ光かな>怪しいです。

これらの撮影は望遠鏡ではなく、こんな簡単な装置です。(笑)

アマチュア無線の業務日誌(ログ)

ARRLのLoTW(Logbook of The World)

アマチュア無線家のアメリカ代表組織 American Radio Relay League (ARRL、アメリカ無線中継連盟)には無線の業務日誌、つまり交信記録をネットワークを介して収集(無線家個人が情報を提供)し、交信記録のマッチングを検証することでDXCCなどのアワードを認定するシステムがあります。このオンライン業務日誌(ログ)はLoTW(Logbook of The World)と呼ばれ、2003年から運用を始め2004年からアワードと連動させて運用されているようです。

もちろん、インターネットを介したシステムであり、アメリカ以外にも大変多くの無線家が利用しています。そのデータはARRLのみならず別の団体が授与するアワード(賞)にも活用されはじめています。

WIA(The Wireless Institute of Australia)

オーストラリアアマチュア無線家の連盟(WIA, The Wireless Institute of Australia)が授与するアワードすべての処理をオンライン化し、ARRLが生み出したログデータを活用していることを知りました。このシステムを利用しWorked All VK Call Areas – HFというアワードの申請を試みましたので、その経過を記録したいと思います。

WIA Online Systemへの登録

オンラインシステムを利用するには登録をする必要があります。もちろん、利用するだけであれば無料ですので、まずは申請をしてみます。申請方法はオンラインシステムのログイン画面に記載があります。

WIA online systremのログイン画面

オーストラリア国民以外の場合、2つの方法により参加が認められます。(1)アマチュア無線のライセンス(アマチュア無線局の免許状かな?)の写しをWIAアワードマネージャーに郵送する、(2)LoTW証明書(.tq8)をWIAメールで送信する。.tq8はARRLのLoTWシステムアプリケーションTQSLにより、ログデータを証明付圧縮データにしたものです。これらのいづれかにより申請者がコールサインの所有者であることを証明します。

WIA online systremの登録画面

ARRLのTQSLについては他のwebなどをご参照ください。1つの交信記録でよい、と繰り返し記載があります。大量のデータを送ってしまう方が多いようです(笑)。私の場合、直近のVK(オーストラリア局)1局のみの交信記録をTQSLにより.tq8を作成し、メール送信しました。オーストラリアは日本との時差はほとんどないので午前中に送信すると午後には利用許可が下りていました。

実際にアワードを申請するためにはWIAに入会するか、国際メンバーとして年間利用料($AU 30)を支払う必要がありますが、利用の可否などを検討するためであれば利用登録だけで良さそうです。

Worked All VKアワード申請に必要なADIFデータ

めでたくオンラインアワードシステムにログインできましたら、内容をしっかりと把握しておきましょう。オンラインによるアワード申請のためにはADIF logデータをアップロードする必要があります。オンラインシステムに明記されているように、アップロードに必要なADIFデータとして最低限必要な項目として、CALL, DXCC, QSO_DATE, TIME_ON, BAND, MODE, RST_SENTとなっています。

私も含めて日本の多くの無線家はTurbo Ham Log(ハムログ)というソフトを利用していると思います。このハムログもログデータをADIFとして出力することができますが、最低限必要となる項目のうちDXCCがありません。そのため、ハムログのADIFをアップロードしてもエラーとなります(経験済み)。

WIA online systremのADIFファイルアップロード画面

次に試したのは、本家ARRLのLoTWから自分自身のログデータをADIFとしてダウンロードできるため、それを実行してみます。とりあえず、VKとの交信のもっとも古い時期(2019)からのデータをダウンロードしてみようと以下のように入力してみました。コールサインJJ0UZRは私自身のものですから、試される場合はご自身のコールサインを入力してくださいね。

ARRL LoTWのデータダウンロード画面

その中のVKだけを(ADIF Masterというソフトを利用して)抽出してみました。しかしながら、本家ADIFデータにはRST_SENTの項目がありません。ここでもエラーとなり、アップロードできませんでした。

マージする良い方法が見つからないため、とりあえず手入力という方法です。VKだけのデータであれば、RST_SENTよりはDXCCの方が簡単に入力できるためハムログのADIFデータをADIF MasterでDXCCの項目を作り、VK本土はすべて同じであるためコピペ、南極大陸など大陸以外は数も少ないので、それぞれを手入力。そのADIFを圧縮した後、アップロード!!!  おお、読み込んでくれました。

ただ、単にアップロードされただけであり、そのデータが確認(照合)された訳ではありません。ログデータをARRLやeQSL.ccなどでの照合を経て確認されなければなりません。

WIA online systremのデータ照合画面

これらもオンラインで実行したいと考え、試行錯誤の結果、LoTWからのお墨付きを頂くことが今回の全VKアワードには必要と考え、LoTWでデータ照合を実行する方法で処理をしてみました(VK0など希少価値のある局との交信記録がどこで照合可能なのかが重要!)。

この段階で試行錯誤の連続でした。WIAの担当Graham Alstonさん(VK3GA)には大変お世話になりました。何回ものメールのやりとりから無事にLoTWからの照合を得ることができました。

TurboHamLogによるADIに足りない項目

ADIファイルをいろいろと加工するためにADIF Masterというソフトを利用しました。
ハムログから生成されたADIファイルをADIF Masterにより加工処理するということになります。ハムログにより生成されたADIファイルに足りない項目は

<LOTW_QSL_RCVD>

この1項目です。この項目をADIF Masterにより追加し、交信記録それぞれに

“<LOTW_QSL_RCVD:1>Y”

を追加するだけです。そのデータをWIAにアップロードした結果が、上記スクリーンショットの画面下になります。

LOTW欄をみるとVerifiedが234となっています。また、clublogを利用しているためDXCC欄はVerifiedが346となっており、Paperは(紙QSLカードのチェックが全くないため)Not Verifiedが234となっています。

これで照合が完成したため、以下のようにアワードの申請画面となりました。

WIA online systremの照合結果

そして、希望する「Digital」をクリックすれば

WIA online systremのアワード申請状況

と受付終了となりました。

めでたし、めでたし。

アマチュア無線局JJ0UZR

WAZ (worked all zone)

中学1年生の時、免許を取得しJR2KDAという無線局を開局した。ただ、大学を卒業し地元を離れることになり(アマチュア無線局はそれぞれの地域別に申請するため)その後は廃局となった。社会人となり転職転居などもあって無線などすっかり忘れていた。50歳後半になり母から実家の無線機が存在することを聞き、とりあえず持ち帰ったものの(すでに古すぎて綺麗な電波を出すのが難しいため)特に何もせず。。。

母が亡くなる前、病床にて昔話を聞きながら無線の話題になった。その時、中学の時のライセンスからステップアップするのも良いかな・・・と感じたこともあり、母の見舞いのついでに上級ライセンスのための勉強を始めた。母の葬儀を終えた後の年末、国家試験があり受験。年明けに合格通知が届く。すでに開局申請などはオンラインでできるようになり、お手軽に開局できた。現在居住する信越エリア(0)のコールサインとしてJJ0UZRを頂く。

すでに5年の更新も終えたJJ0UZR。40年前と大きく異なるのは電話でも電信でもなく、デジタルモード通信という手法による交信をメインにしていること。このデジタルモード通信は数年前から一気に普及しはじめたもの。アメリカのノーベル物理学賞(宇宙物理学)受賞者でアマチュア無線家でもあるプリンストン大学ジョセフテイラー博士(K1JT)が発明したもの。

デジタルモード通信の利点は微弱電波であっても誤りの少ない方法により正確にデータ通信できること。そのため、たった100Wの空中線電力であったとしても短波帯を利用すれば世界中と繋がれる。そのため、我が家の庭に自分で作った簡単なアンテナ(垂直形バーティカル)で北アメリカやヨーロッパ、オーストラリアはもちろん、アフリカや南米、南極大陸も視野に。

いろいろな国やエリアとの交信が増えていくとアワード(賞)がもらえる。世界中に無線家がいるため、いろいろな賞がある。6大陸や100エンティティ(100の国や地域)、全米50州などを制覇した(笑)。先日、カナダ北西部、あまり大きな都市がなさそうなエリアにある無線家との交信を実現し、世界40ゾーンとの交信を完成。

WAZ(worked all zone)という賞のための40ゾーンがこちら↑。アメリカのアマチュア無線雑誌CQ Magazine社が主催する賞。残念ながら雑誌は2023年に廃刊。ただ、賞については継続している。先日、送られてきたのがこちら↓。

ぼちぼち取り組んできたことがいろいろと展開してきたのは面白いね。